高額介護サービス費制度
What is|高額介護サービス費制度とは?
簡単に言うと
高額介護サービス費制度とは、何ですか?
簡単に言うと「介護費用が高額になったときに、一定額を払い戻してくれる制度」です。
重要ポイント3選
介護費用について、月ごとの上限額が設定されます。これを超えた分は、後日払い戻しされます。
高額療養費制度とは異なり、一度だけ申請すれば2回目以降の申請は不要です。
住宅改修や、施設での居住費、食費などはこの制度の対象外です。
定義
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市町村は、要介護被保険者が受けた居宅サービス(これに相当するサービスを含む。)、地域密着型サービス(これに相当するサービスを含む。)又は施設サービスに要した費用の合計額として政令で定めるところにより算定した額から、当該費用につき支給された居宅介護サービス費、特例居宅介護サービス費、地域密着型介護サービス費、特例地域密着型介護サービス費、施設介護サービス費及び特例施設介護サービス費の合計額を控除して得た額(次条第一項において「介護サービス利用者負担額」という。)が、著しく高額であるときは、当該要介護被保険者に対し、高額介護サービス費を支給する。
介護保険法 第51条
具体例
簡単な具体例を示します!
- 自己負担額:4万円
- 負担限度額:1万5,000円 (第1段階または第2段階)
- 高額介護サービス費制度による負担上限です。
この場合、40,000ー15,000円=25,000円が返金されます!
Who|誰が利用できますか?(対象・対象外)
利用できる人(前提条件)
高額介護サービス費制度はどんな人が利用できますか?
高額介護サービス費制度は、次の2つの条件を満たす人が利用できる制度です!
- 介護保険サービスを利用している
- 1ヶ月の介護保険サービスに係る費用が高額である
- 所得に応じて月の自己負担の上限額が異なります。これを超えたときに高額介護サービス費制度が利用できます。
- 所得と自己負担上限額の詳しい説明はこちらをご覧ください。
この条件を満たしたとき、介護費用に上限負担額が設定されます!
対象(介護サービス)
高額介護サービス費制度は、どんな介護サービスが対象ですか?
介護保険を利用できる介護サービスならほとんどが対象です!
介護保険を利用できるサービスは主に次の3つに分けられます!
- 居宅サービス
- 施設サービス
- 地域密着型サービス
これらのサービスでも一部対象外となるものがあります!詳しくはこちらをご確認ください!
居宅サービス
訪問サービス
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問入浴介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
通所サービス
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
短期入所サービス
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護
その他
- 特定施設入居者生活介護
- 福祉用具貸与
施設サービス
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム:特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設(2023年度末に廃止予定)
- 介護医療院
地域密着型サービス
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 地域密着型通所介護
- 療養通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護(小多機)
- 認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 看護小規模多機能型居宅介護(看多機・旧複合型サービス)
青いマーカーを引いてあるものは、要支援者も利用できるサービスです!
対象外(介護サービス)
高額介護サービス費制度を利用できないのはどんなときですか?
高額介護サービス費制度は、介護保険が利用できないサービスは対象外です!
具体的には、以下のものは対象外です!
- 民間老人ホームの入居費用
- 特養などの施設サービスにおける、居住費や食費
- 居住費や食費を減額できる制度もあります。詳しくは、「特定入所者介護サービス費(補足給付)」をご覧ください。
- ショートステイなどの短期入所における、滞在費
- 美容院代などの生活費
介護保険が利用できるサービスでも、一部対象外のものがあります!以下のサービスでは対象外となります!
- 特定福祉用具販売
- ポータブルトイレなどの購入費用。
- 居宅介護住宅改修費支給
- 自宅に手すりを設置するときなどにもらえる費用。
- 介護保険の支給限度額を超えて、全額自己負担で利用したサービス費用
- 下で補足します。
介護保険支給限度額とは
介護保険制度は、医療保険とは異なり、好きなだけ利用できるものではありません。利用できる介護サービス費用に、月ごとの上限額(区分支給限度基準額)が設定されています。これは、要支援・要介護度に応じて以下のようにされています。
区分 | 区分支給限度基準額 (単位) | 支給限度額10割 (円) | 自己負担割合1割 (円) |
---|---|---|---|
要支援1 | 5,032 | 50,320円 | 5,032円 |
要支援2 | 10,531 | 105,310円 | 10,531円 |
要介護1 | 16,765 | 167,650円 | 16,765円 |
要介護2 | 19,705 | 197,050円 | 19,705円 |
要介護3 | 27,048 | 270,480円 | 27,048円 |
要介護4 | 30,938 | 309,380円 | 30,938円 |
要介護5 | 36,217 | 362,170円 | 36,217円 |
基本的には、この支給限度額以内に収まるようなケアプランが設計されています。
しかし、実際には、この限度額を超えるような利用も可能であり、その場合は限度額を超えた分は全額自己負担となります。
高額介護サービス費制度は、あくまで、支給限度額内の料金が高額になった場合に利用できる制度です。そのため、限度額を超えて全額自己負担した分に関しては、制度の対象外となっています。高額介護サービス費制度があるから、自己負担を気にせずいくらでも介護サービスを利用できる、というのは誤った解釈なのでご注意ください。
When|いつ利用できますか?(タイミング)
いつから(適用タイミング)
高額介護サービス費制度はいつから利用できますか?
初めて自己負担の上限額を超えた月から利用できます!一旦利用開始したら、その後も追加申請なしでずっと使い続けることができます!
高額介護サービス費制度を利用できるタイミングで、お住まいの自治体から申請書が送付されます!2年以内に手続きを行わないと返金されないため、忘れずに早めに申請を行いましょう!
初めて高額介護サービス費制度の対象となった月から、およそ3〜4ヶ月後に返金されます!
支払い済みの介護費用
高額介護サービス費制度は支払い済みの介護費用にも使えますか?
2年以内の介護費用なら高額介護サービス費制度の対象となります!
それ以上前のものは対象外となってしまうので、自治体から申請書が届いたら早めに申請を行いましょう!
時系列
関連する制度も含めて、利用の順番はこんな感じです!
介護保険を利用した介護サービスを利用したい場合は、要介護・要支援認定の取得が必須です。
介護保険サービスの利用には、ケアプランの作成が必須です。無料で作成できるので、ケアマネさんに作ってもらいましょう。
ケアプランにしたがって介護保険サービスが利用できます。
所得が低い場合、特定入居者介護サービス費が利用できます。
施設サービスやショートステイなどを利用する場合、食費等を減額することができます。
月ごとの自己負担額の上限を超えるようになると利用できます。
Where|どこで相談できますか?(窓口)
相談窓口
高額介護サービス費制度について相談したいときはどうしたらいいですか?
高額介護サービス費制度について困ったことがある場合は、以下の場所で相談することができます!
- 市区町村窓口
- 担当のケアマネジャーさん
Why|なぜ利用するのですか?(メリット)
メリット
高額介護サービス費制度のメリットは何ですか?
高額介護サービス費制度のメリットは、介護費用を抑えられることです!
一旦、要介護・要支援認定を受けると、介護保険サービスを利用し続けることがほとんどです!介護が長期化することも多いため、長い目で見ればかなり大きな額を節約することができます!
申請書が届いたら、忘れずに申請を行いましょう!
デメリット
高額介護サービス費制度のデメリットは何ですか?
高額介護サービス費制度のデメリットはほぼありません!
敢えて挙げるなら、医療費控除額が減額されることです!
しかし、医療費控除の減額は、実際に高額介護サービス費制度で安くなる介護費用に比べたら非常に小さな額です!そのため、このデメリットは気にする必要がなく、高額介護サービス費制度が利用できるのであれば、積極的に活用することをお勧めします!
How|どうやって利用しますか?(申請方法)
申請方法
高額介護サービス費制度は、どうやって申請すればいいですか?
申請方法を以下のフローチャートにまとめます!
一旦、上限額を超えている分も自己負担する必要があります。
お住まいの自治体から自動的に申請書が送付されてきます。
書類はこちらでご確認ください。
申請から約1〜2ヶ月で返金されます。
一旦申請すれば、その後、上限額を超えた月の介護費用に関しては自動的に返金が行われます。
申請費用
申請するのにお金はかかりますか?
かかりません!
必要書類
高額介護サービス費制度の申請に必要になるものはありますか?
申請には以下の5つの書類が必須となります!
- 被保険者証
- 介護保険高額介護(介護予防)サービス費(相当事業費)支給申請書
- 口座振替申出書
- マイナンバーの分かる書類
- 必要に応じて委任状
他にも、状況に応じて書類が必要なることがあるので、市区町村の役場で聞いてみてください!
診断書
高額介護サービス費制度の申請には、診断書は必要になりますか?
診断書は不要です!
代理申請
高額介護サービス費制度の手続きは、家族の代理でできますか?
できます!ただし、委任状が必要となることがあります!
有効期限
高額介護サービス費制度の有効期限はありますか?
申請の有効期限は、初めて対象となった月から2年です!2年以上前の介護費用に関しては、返金請求できないので早めに申請を行いましょう!
高額介護サービス費制度を利用開始したら、その後の有効期限はありません!対象となる月があれば、自動的に返金が行われます!
更新
高額介護サービス費制度の更新はありますか?
ありません!一度申請すればずっと使える制度です!
所得制限
高額介護サービス費制度に所得制限はありますか?
高額介護サービス費制度では、所得によって月の上限額が設定されています!
基本的には、世帯合計での上限額の設定となっています!そのため、夫婦で介護サービスを利用している場合、2人の合計金額が上限額を超えていれば、その差額分が返金されます!
設定区分 | 対象者 | 負担の上限額 (月額) |
---|---|---|
第1段階 | 生活保護を受給している方等 | 15,000円 (個人) |
第2段階 | 市町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額 +その他の合計所得金額の合計が80万円以下 | 24,600円 (世帯) 15,000円 (個人) |
第3段階 | 市町村民税世帯非課税で第1段階及び第2段階に該当しない方 | 24,600円 (世帯) |
第4段階① | 市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 44,400円 (世帯) |
第4段階② | 課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1,160万円)未満 | 93,000円 (世帯) |
第4段階③ | 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 140,100円 (世帯) |
第4段階における課税所得による判定は、同一世帯内の65歳以上の方の課税所得により判定されます!同居家族(息子、娘など)がいても、その人たちの所得は一切関係ないのでご安心ください!
しかし、課税所得のある息子や娘などと同居している場合、介護保険利用者に課税所得がない場合でも、課税世帯として第4段階①になってしまいます!第1段階〜第3段階になるのは、65歳未満の人を含めて世帯全員が市町村民税世帯非課税の場合です!
年齢制限
高額介護サービス費制度に年齢制限はありますか?
高額介護サービス費制度は介護保険が利用できる人であれば使える制度です!つまり、40歳以上が対象となります!介護保険制度では、年齢によって次のように分けられています!
- 第1号被保険者:65歳以上の人
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満の医療保険加入者
第1号被保険者が介護サービス利用のほとんどを占めています!
回数制限
高額介護サービス費制度は、回数制限はありますか?
ありません!一旦申請を行えば、対象となる月は自動的に返金が行われます!
注意点
高額介護サービス費制度に何か注意することはありますか?
いくつか注意点があります!
- 申請が必要
- 申請書は自動的に送付されますが、申請自体は行う必要があります。2年以内に申請を行わないと返金されないので注意しましょう。
- 対象にならない介護費用がある
- こちらをご確認ください。
- 制度の対象外である食費や居住費などを考慮すると、実際には負担上限額以上の額を支払うことになります。
- 負担上限額が変わる場合がある
- 前年度の所得に応じて上限額が決定されます。
- 息子、娘などと同居すると負担上限額が増加することがある
- 利用者本人が非課税でも、息子、娘などの同居家族に課税所得があると、課税世帯の負担上限額が設定されます。
- 返金の受け方は2種類ある
- 1:一旦、自己負担してから自分の口座に返金される方法。
- 2:上限負担額だけを最初から支払い、残額を介護施設に立て替えてもらう方法。立て替えてもらった分が、介護施設側に後から振り込まれます。
- 2つ目の方法は、介護施設によってできるかまちまちなので、希望する場合は相談してみましょう。
How Much|いくら得しますか?(節約効果)
「いくら」介護費用が安くなりますか?
高額介護サービス費制度はいくらもらえますか?
自己負担額と上限負担額の差額が返金されます!
介護保険利用者が1人なのか複数なのかで返金額が少し異なります!
- 1人の場合
- 返金額=自己負担額ー上限負担額
- 複数人の場合
- 返金額=世帯合計負担額ー世帯上限負担額
実際の返金額は市区町村で自動で計算されるため、あまり詳細まで気にする必要はありません!目安程度に知っておきましょう!
How Many|何人が利用していますか?(統計・体験談)
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体験談
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医療費節約チャンネルに届いたコメントを一部ご紹介します!
コメントを書いた頂いた皆様、ありがとうございます!!