- 障害手当金とは?
- 「具体例」を教えてください。
- 「利用できる人」とは?
- 障害手当金の対象
- 障害手当金の対象外
- 「治った」とは、どういう意味ですか?
- 受給者は年間何人ですか?
- 障害年金との違いはなんですか?
- 障害年金を貰いながら、障害手当金も貰うことはできますか?
- 「金額」はいくらですか?
- 「最低保証額」はいくらですか?
- 「非課税」ですか?
- 制度の位置付け
- 申請に費用はかかりますか?
- 「相談窓口」はどこですか?
- 「必要書類」は何ですか?
- 「診断書」は必要ですか?
- 「所得制限」はありますか?
- 「年齢制限」はありますか?
- 「回数制限」はありますか?
- 「家族の代理」で手続きできますか?
- 「メリット」とは?
- 「デメリット」とは?
- の「注意点」とは?
障害手当金とは?
- Q障害手当金とは、どのような制度ですか?
- A
簡単に言うと、「サラリーマン時代の病気やケガで障害が残ったとき、117万円貰える制度」です。
要点
- 【1】病気やケガの治療が、初診日から5年以内に一通り終わった
- 【2】障害が残ったけど、障害年金3級よりは軽い状態である
- 【3】一度だけ、最低補償額の約117万円以上もらえる(2022年/令和4年度:1,166,800円)
定義
【障害手当金】
厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがが初診日から5年以内になおり、
3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。
障害手当金を受ける場合も、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしている必要があります。
日本年金機構ホームページ
障害手当金
「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
【令和4年4月1日改正版】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(全体版)P3
「具体例」を教えてください。
Aさんの例
- 障害:肢体障害
- 手帳:4級(身体)
- 年齢:55歳(受給時52歳)
- 性別:女性
- 初診:2016年2月19日
- 金額:1,255,400円
- 執筆:ご本人
- 社労士:依頼していない

【日常生活の状況】
変形性股関節症で両足人工股関節置換手術をしました。
手術前は杖を使ってゆっくりと短時間しか歩けない状態で
股関節の痛みや怠さもありましたが、
手術後は改善し歩くのにほとんど支障はなくなりました。
ただ股関節の可動域は狭く立ち上がりは遅いのと、
正座、あぐらの姿勢は出来ません。椅子やベットで生活をしています。
【申請時の苦労】
初診日の記録が必要になるのですが、
最初に診断されたのは手術した病院ではなく、
地元の整形外科にで診断書をとる必要がありました。
整形外科では障害手当金に対する知識があなりなかったようで、
また何年も受診していなかったこともあり、
頼みにくい雰囲気でした。
【アドバイス】
障害手当金は、5年以内に申請するなど様々な決まりがあります。
私は手術した病院のソーシャルワーカーが
手当について教えてくれたので申請できましたが、
年金と違って一時金なので知らないと
ついうっかり機会を逃してしまいがちだと思います。
年金に該当しないと思われる場合でもチェックしておくと良いと思います。
「利用できる人」とは?
- Q障害手当金を貰う条件は何ですか?
- A
①国が定める支給条件をクリアし、②年金事務所等で申請をして、③審査が承認されると貰えます。
障害手当金の7要件(全て満たす必要あり)
- 【1】「初診日(初めて病院に行った日)」が何年/何月/何日かわかる。
- 【2】「初診日」から「5年以内」に治療が一通り終わった。(治った/症状固定)
- 【3】「障害が残った」けど「障害年金3級」よりは軽い。
- 【4】「治療が一通り終わった日」から「5年以内」に年金事務所で申請した。
- 【5】「初診日」に「厚生年金加入者」である。(会社員/公務員など)
- 【6】「初診日」の前に、ある程度しっかり年金保険料を払っている。
- 【7】「障害年金」や「労災の障害保障」など、他の年金系の給付を国から貰っていない。
【1】「初診日」の確定
- Q「初診日」とは、いつのことですか?
- A
初めて病院に行った日です。
障害手当金に限らず、障害年金全体において、初診日はとても重要な日です。初診日が判明しないと、話が進まないケースが多いです。
【2】「5年以内」に治った
- ①原因発生病気やケガが発生
- ②初診日初めて病院へ行った
↑
5年以内(障害手当金を貰う要件)←ココの話!!
↓ - ③治った日病気やケガが治った(症状固定含む)
↑
5年以内(権利の消滅時効)
↓ - ④申請日年金事務所で申請書類を提出
【3】「障害状態該当」要件
【4】治った日から「5年以内」の申請
- ①原因発生病気やケガが発生
- ②初診日初めて病院へ行った
↑
5年以内(障害手当金を貰う要件)
↓ - ③治った日病気やケガが治った(症状固定含む)
↑
5年以内(権利の消滅時効)←ココの話!!
↓ - ④申請日年金事務所で申請書類を提出
【5】「初診日」に「厚生年金加入者」である。
厚生年金加入者
- Q厚生年金加入者とは、どのような人ですか?
- A
簡単に言うと、サラリーマンや公務員の人です。
勤務先から給料をもらっていて、厚生年金保険料が天引きされている人です。
非正規雇用やパートタイム雇用でも、厚生年金保険料が天引きされていれば対象です。
- Q退職日と初診日が同じ場合は、どうなりますか?
- A
障害厚生年金・障害手当金の対象となります。
厚生年金の被保険者でなくなるのは、退職日の翌日です。
つまり、退職日にそのまま病院に行った場合は、ギリギリセーフです。
【6】「保険料納付」要件
障害手当金の保険料納付要件(どちらか片方でOK)
- 初診日の前々月までに、国民年金保険料を、、、
- 【1】20歳から今までの期間、2/3以上払っている。
- 【2】直近1年間で、未納がない。
障害基礎年金・障害厚生年金の保険料納付要件と同じです!
20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
【7】「障害年金」や「労災の障害保障給付」は貰っていない。
- Q現在、障害年金を受給しています。障害手当金も貰えますか?
- A
いいえ、貰えません。
障害手当金が対象外となる他の給付
- 「治った日」に次の年金制度の受給資格がある。
- 老齢基礎年金/老齢厚生年金
- 遺族基礎年金/遺族厚生年金
- 障害基礎年金/障害厚生年金
- 「治った日」に「同じ傷病」で、次の制度の受給資格がある。
(別傷病での受給なら問題ありません。)- 公務員の災害補償法
- 労災保険法の障害(保障)給付
- 労働基準法の災害補償
- 船員保険法の障害補償
- 労働基準法、労働者災害補償保険法、船員保険法、公務員の災害補償法、公務災害補償法により障害補償を受けている。
障害手当金の対象
- Q障害手当金の対象は、どのような障害ですか?
- A
主に眼・耳・肢体などの外部障害で、障害年金3級より軽い状態です。
具体的には、下記の表をご覧ください。
障害手当金 | 分類 | 障害の状態 |
---|---|---|
1 | 眼 | 両眼の視力が0.6以下に減じたもの |
2 | 眼 | 1眼の視力が0.1以下に減じたもの |
3 | 眼 | 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
4 | 眼 | 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの |
5 | 眼 | 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの |
6 | 聴覚等 | 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの |
7 | 聴覚等 | そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの |
8 | 聴覚等 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
9 | 肢体 | 脊柱の機能に障害を残すもの |
10 | 肢体 | 一上肢の3大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの |
11 | 肢体 | 一下肢の3大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの |
12 | 肢体 | 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
13 | 肢体 | 長管状骨に著しい転位変形を残すもの |
14 | 肢体 | 一上肢の2指以上を失ったもの |
15 | 肢体 | 一上肢のひとさし指を失ったもの |
16 | 肢体 | 一上肢の3指以上の用を廃したもの |
17 | 肢体 | ひとさし指を併せ一上肢の2指の用を廃したもの |
18 | 肢体 | 一上肢のおや指の用を廃したもの |
19 | 肢体 | 一下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの |
20 | 肢体 | 一下肢の5趾の用を廃したもの |
21 | その他 | 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
22 | 精神・神経 | 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
令和4年4月1日改正
障害手当金の対象外
- Q障害手当金の対象外となるのは、どのような障害ですか?
- A
うつ病、双極性障害、統合失調症、知的障害、発達障害、てんかん等の精神疾患、がん、内部障害は対象外です。
「治った」とは、どういう意味ですか?
- Q「治った」とは、どういう意味ですか?
- A
「今後これ以上治療効果が期待できなくなった状態」のことを言います。
「症状固定」と表現することもあります。
定義
「傷病が治った場合」とは、器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。
【令和4年4月1日改正版】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(全体版)P1
症状固定の具体例
- 病気で片目の視力が0.1以下になり、メガネやコンタクトレンズを使っても見えない。
- 農作業中の事故で、右手の人差し指を失ってしまった。
- 変形性股関節症で人工股関節置換手術をしたが、可動域が十分に回復しなかった。
受給者は年間何人ですか?
- Q障害手当金の受給者は、年間何人いますか?
- A
年間で約300人です。
日本年金機構『障害年金業務統計』が参考になります。下記をご覧ください。
障害手当金 新規件数 | 2019年度 (令和元年) | 2020年度 (令和2年) | 2021年度 (令和3年) | 2022年度 (令和4年) |
---|---|---|---|---|
精神障害・知的障害 | 0 | 0 | 0 | 未発表 |
呼吸器疾患 | 0 | 0 | 0 | 未発表 |
循環器疾患 | 0 | 0 | 0 | 未発表 |
腎疾患・肝疾患・糖尿病 | 0 | 0 | 0 | 未発表 |
血液・造血器・その他 | 2 | 0 | 0 | 未発表 |
眼 | 62 | 84 | 70 | 未発表 |
聴覚等 | 75 | 74 | 78 | 未発表 |
肢体 | 139 | 159 | 134 | 未発表 |
合計 | 233 | 305 | 277 | 未発表 |
※「1人の受給権者が複数枚の診断書を用いている場合は、診断書ごとに件数を計上している。」ため、合計値と一致しない。
障害年金との違いはなんですか?
- Q障害年金との違いはなんですか?
- A
障害年金はずっともらい続けることができる年金ですが、障害手当金は一度だけ貰える一時金です。
障害基礎年金 (国民年金) | 障害厚生年金 (厚生年金) | |
---|---|---|
1級 | ◯ | ◯ |
2級 | ◯ | ◯ |
3級 | × | ◯ |
障害手当金 | × | ◯ |
障害年金を貰いながら、障害手当金も貰うことはできますか?
- Q障害年金を貰いながら、障害手当金も貰うことはできますか?
- A
いいえ、できません。
障害手当金の7要件(全て満たす必要あり)
- 【1】「初診日(初めて病院に行った日)」が何年/何月/何日かわかる。
- 【2】「初診日」から「5年以内」に治療が一通り終わった。(治った/症状固定)
- 【3】「障害が残った」けど「障害年金3級」よりは軽い。
- 【4】「治療が一通り終わった日」から「5年以内」に年金事務所で申請した。
- 【5】「初診日」に「厚生年金加入者」である。(会社員/公務員など)
- 【6】「初診日」の前に、ある程度しっかり年金保険料を払っている。
- 【7】「障害年金」や「労災の障害保障」など、他の年金系の給付を国から貰っていない。
「金額」はいくらですか?
- Q障害手当金の受給金額はいくらですか?
- A
最低保証額は1,166,800円です。(令和4年度)
サラリーマン・公務員としての勤務期間が長く、給料やボーナスが多いほど、受給金額も増額されます。
障害等級 | 障害基礎年金(年間) | 障害厚生年金(年間) |
---|---|---|
1級 | 972,250 円 + 子の加算額※1 | (報酬比例の年金額)×1.25 + 配偶者の加給年金額※2 |
2級 | 777,800 円 + 子の加算額※1 | (報酬比例の年金額) + 配偶者の加給年金額※2 |
3級 | ー | (報酬比例の年金額) 最低保障額583,400円 |
障害手当金 | ー | (報酬比例の年金額)×2年分 最低保障額1,166,800円 |
【※1】2人まで1人につき223,800 円 3人目以降1人につき74,600 円 | 【※2】223,800 円 |
「最低保証額」はいくらですか?
- Q障害手当金の最低保証額はいくらですか?
- A
最低保証額は1,166,800円です。(2022年度/令和4年度)
年度 | 最低保証額 |
---|---|
2022年度(令和4年) | 1,166,800円 |
2021年度(令和3年) | 1,171,400円 |
2020年度(令和2年) | 1,172,600円 |
2019年度(令和元年) | 1,170,200円 |
2018年度(平成30年) | 1,169,000円 |
毎年、多少の変動はありますが、約117万円です。
この金額は、「障害厚生年金3級の最低保証額」の2年分です。
「非課税」ですか?
- Q障害手当金は非課税ですか?
- A
はい。障害手当金は非課税です。
年末調整や確定申告で記入する必要はありません。
「障害年金(障害手当金を含む)」と「遺族年金」は非課税です。しかし、「老齢年金」は非課税ではありません。
注意点
- 障害手当金は、健康保険の収入には含まれます。
- 障害手当金を受け取ることで、健康保険の扶養から外れてしまう可能性があります。
- 扶養から外れた場合、国民健康保険料を払う必要があります。
制度の位置付け
- Q障害手当金は、どのような位置付けの制度ですか?
- A
厚生年金保険の中の、障害厚生年金の一部です。
申請に費用はかかりますか?
- Q申請に費用はかかりますか?
- A
申請自体は無料です。しかし、病院の診察代や診断書代は有料です。社労士へ依頼する場合も、別途費用がかかります。
「相談窓口」はどこですか?
- Q「相談窓口」はどこですか?
- A
お近くの年金事務所です。
予約が必要なことがありますので、事前にご確認ください。
最寄りの年金事務所でなくとも、全国どこの年金事務所でも大丈夫です。
「必要書類」は何ですか?
- Q「必要書類」は何ですか?
- A
障害厚生年金を申請するときの書類と同じです。
「診断書」は必要ですか?
- Q「診断書」は必要ですか?
- A
はい、必要です。
障害手当金「専用」の診断書はありません。
障害年金用の診断書で申請します。
「所得制限」はありますか?
執筆中
「年齢制限」はありますか?
執筆中
「回数制限」はありますか?
執筆中
「家族の代理」で手続きできますか?
執筆中
「メリット」とは?
執筆中
「デメリット」とは?
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の「注意点」とは?
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