障害手当金
What is|障害手当金とは?
簡単に言うと
障害手当金とは、何ですか?
簡単に言うと「サラリーマン時代の病気やケガで障害が残ったとき、最低119万円貰える制度」です。
重要ポイント3選
初めて病院に行った日に厚生年金に加入していれば、申請できます!
仕事を辞める前に一度、病院に行きましょう。
重い障害が残った場合は、障害年金の支給になります。
2023年/令和5年度:1,192,600円
ただし、昭和31年4月1日以前に生まれた人では1,189,000円
練習問題
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定義
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-
厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがが初診日から5年以内になおり、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。障害手当金を受ける場合も、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしている必要があります。
日本年金機構ホームページ「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のものとする。
【令和4年4月1日改正版】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(全体版)P3
具体例
55歳女性で肢体障害で障害手当金を受給している例を紹介します!
プロフィール
- 障害:肢体障害
- 手帳:4級(身体)
- 年齢:55歳(受給時52歳)
- 性別:女性
- 初診:2016年2月19日
- 金額:1,255,400円
- 執筆:ご本人
- 社労士:依頼していない
日常生活の状況
変形性股関節症で両足人工股関節置換手術をしました。手術前は杖を使ってゆっくりと短時間しか歩けない状態で股関節の痛みや怠さもありましたが、手術後は改善し歩くのにほとんど支障はなくなりました。ただ股関節の可動域は狭く立ち上がりは遅いのと、正座、あぐらの姿勢は出来ません。椅子やベットで生活をしています。
申請時の苦労
初診日の記録が必要になるのですが、最初に診断されたのは手術した病院ではなく、地元の整形外科で診断書をとる必要がありました。整形外科では障害手当金に対する知識があなりなかったようで、また何年も受診していなかったこともあり、頼みにくい雰囲気でした。
アドバイス
障害手当金は、5年以内に申請するなど様々な決まりがあります。私は手術した病院のソーシャルワーカーが手当について教えてくれたので申請できましたが、年金と違って一時金なので知らないとついうっかり機会を逃してしまいがちだと思います。年金に該当しないと思われる場合でもチェックしておくと良いと思います。
Who|誰が利用できますか?(対象・対象外)
利用できる人(前提条件)
障害手当金はどんな人がもらえますか?
障害手当金は、次の7つの条件すべてに該当する方が受給できます!
- 「初診日」の確定
- 初めて病院に行った日が何年/何月/何日かわかることが必須です。
- 「5年以内」に治った
- 初診日から5年以内に治療が一通り終わっている必要があります。
- 治ったとは、症状固定した状態も含みます。
- 「障害状態」要件
- 初診日から1年6ヶ月時点の障害状態が判断基準となります。
- 治った日から「5年以内」の申請
- 治療が終わった日から5年以内に年金事務所で申請する必要があります。
- 「初診日」に厚生年金加入者
- 会社員/公務員などならOKです。
- 「初診日」の前に、ある程度しっかり年金保険料を払っている
- 他の年金系給付の受給資格がない
- 障害年金などの受給資格がある場合は対象外です。
- 実際に給付を受けていなくても、受給資格があるだけで対象外となります。
「初診日」の確定
その障害に関して、初めて病院に行った日(初診日)がハッキリ分かる必要があります。
障害手当金に限らず、障害年金全体において、初診日はとても重要な日です。初診日が判明しないと、話が進まないケースが多いです。
「5年以内」に治った
初診日から5年以内に治療が一通り終わっている必要があります。治っていない場合でも、これ以上障害の状態が良くならない状態(症状固定)であれば、この条件を満たします。
時系列的に、以下の【STEP2】と【STEP3】の間の話です!
病気やケガが発生
初めて病院へ行った
病気やケガが治った(症状固定含む)
年金事務所で申請書類を提出
症状固定について補足です!以下のように定義されています!
「傷病が治った場合」とは、器質的欠損若しくは変形又は機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう。
【令和4年4月1日改正版】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(全体版)P1
具体例としては以下のような場合です!
- 病気で片目の視力が0.1以下になり、メガネやコンタクトレンズを使っても見えない
- 農作業中の事故で、右手の人差し指を失ってしまった
- 変形性股関節症で人工股関節置換手術をしたが、可動域が十分に回復しなかった
「障害状態」要件
「障害状態」要件とは、初診日から1年6か月後の障害認定日に、障害年金3級の受給要件よりは軽い障害が残っている状態を指します。
基準は厳密に定められています!詳しくはこちらをご覧ください!
治った日から「5年以内」の申請
治療が一通り終わった日から5年以内に年金事務所で申請する必要があります。申請が遅れると受給できないので、忘れずに申請を行いましょう。
時系列的に、以下の【STEP3】と【STEP4】の間の話です!
病気やケガが発生
初めて病院へ行った
病気やケガが治った(症状固定含む)
年金事務所で申請書類を提出
「初診日」に厚生年金加入者
初診日に厚生年金に加入している必要があります。
厚生年金に加入している人とは、主にサラリーマンや公務員の人です。勤務先から給料をもらっていて、厚生年金保険料が天引きされていればOKです。そのため、非正規雇用やパートタイム雇用でも、厚生年金保険料が天引きされていれば対象となります。
退職日と初診日が同じ場合は、どうなりますか?
障害厚生年金・障害手当金の対象となります!
厚生年金の被保険者でなくなるのは、退職日の翌日です!つまり、退職日にそのまま病院に行った場合はギリギリセーフです!
「保険料納付」要件
「保険料納付」要件とは、次のどちらかを満たすことを指します。
- 初診日の前々月までに公的年金を2/3以上の期間納めている
- 初診日の前々月までの直近1年間で未納がない
他の年金系給付の受給資格がない
実際に給付を受けていなくても、受給資格があるだけで対象外となります。ご注意ください。
障害手当金の受給資格がなくなってしまう、他の年金系給付は以下の8つです。
- 「治った日」に次の年金制度の受給資格がある。
- 老齢基礎年金/老齢厚生年金
- 遺族基礎年金/遺族厚生年金
- 障害基礎年金/障害厚生年金
- 「治った日」に「同じ傷病」で、次の制度の受給資格がある。(別傷病での受給なら問題ありません。)
- 公務員の災害補償法
- 労災保険法の障害(保障)給付
- 労働基準法の災害補償
- 船員保険法の障害補償
- 労働基準法、労働者災害補償保険法、船員保険法、公務員の災害補償法、公務災害補償法により障害補償を受けている。
金額的にというか、補償の手厚さ的に障害手当金よりも年金系の方が良いです!なので、良い方を貰えばいいじゃんというイメージです!
対象(病気・障害)
障害手当金は、どんな病気やケガが対象ですか?
主に眼・耳・肢体などの外部障害です!障害年金3級よりも軽い障害で対象となります!
具体的な基準は、以下の表をご覧ください!
障害手当金 | 分類 | 障害の状態 |
---|---|---|
1 | 眼 | 両眼の視力が0.6以下に減じたもの |
2 | 眼 | 1眼の視力が0.1以下に減じたもの |
3 | 眼 | 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの |
4 | 眼 | 両眼による視野が2分の1以上欠損したもの又は両眼の視野が10度以内のもの |
5 | 眼 | 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの |
6 | 聴覚等 | 1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの |
7 | 聴覚等 | そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの |
8 | 聴覚等 | 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの |
9 | 肢体 | 脊柱の機能に障害を残すもの |
10 | 肢体 | 一上肢の3大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの |
11 | 肢体 | 一下肢の3大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの |
12 | 肢体 | 一下肢を3センチメートル以上短縮したもの |
13 | 肢体 | 長管状骨に著しい転位変形を残すもの |
14 | 肢体 | 一上肢の2指以上を失ったもの |
15 | 肢体 | 一上肢のひとさし指を失ったもの |
16 | 肢体 | 一上肢の3指以上の用を廃したもの |
17 | 肢体 | ひとさし指を併せ一上肢の2指の用を廃したもの |
18 | 肢体 | 一上肢のおや指の用を廃したもの |
19 | 肢体 | 一下肢の第1趾又は他の4趾以上を失ったもの |
20 | 肢体 | 一下肢の5趾の用を廃したもの |
21 | その他 | 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
22 | 精神・神経 | 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの |
令和4年4月1日改正
対象外(病気・障害)
障害手当金を利用できないのはどんなときですか?
うつ病、双極性障害、統合失調症、知的障害、発達障害、てんかん等の精神疾患、がん、内部障害は対象外です!
これらは、障害年金では対象となる場合があります!詳しくはこちらの記事をご確認ください!
When|いつ利用できますか?(タイミング)
いつから(適用タイミング)
障害手当金はいつもらえますか?
障害手当金の認定が得られたら、その数ヶ月後に振り込まれます!
時系列
関連する制度も含めて、利用の順番はこんな感じです!
病気やケガで仕事を休み始めて4日目以降に利用できます。
身体障害が障害残ってしまうと判断されたタイミングで利用できます。
身体障害者手帳取得後に利用できる場合があります。
市町村ごとに対象となる等級が異なります。
初診日から1年6ヶ月以降に申請できます。
障害年金生活者支援給付金の申請も同時にできます。
Where|どこで相談できますか?(窓口)
相談窓口
障害手当金について相談したいときはどうしたらいいですか?
障害手当金について困ったことがある場合は、以下の場所で相談することができます!
- 年金事務所
- 年金相談センター
- 市区町村役場
- 社労士事務所
Why|なぜ利用するのですか?(メリット)
メリット
障害手当金のメリットは何ですか?
障害手当金のメリットは主に次の5つです!
- 経済的に安心できる
- 障害手当金は非課税所得になる
- ちなみに老齢年金は課税所得です。
- 使い道が限定されていない
- 働いていても受け取ることができる
デメリット
障害手当金のデメリットは何ですか?
障害手当金のデメリットは主に次の2つです!
- 他の年金系給付資格があるともらえない
- いわゆる「併給調整」があります。
- 健康保険の扶養から外れる可能性がある
- 障害手当金は税金的には非課税なのですが、健康保険の収入にはカウントされます。
- 扶養から外れた場合、国民健康保険料を払う必要があります。
How|どうやって利用しますか?(申請方法)
障害手当金専用の申請書はありません!障害厚生年金の申請を行ったときに、障害の程度に応じて障害手当金の支給となります!
このため、障害年金の申請方法について解説します!
申請方法
障害年金は、どうやって申請すればいいですか?
障害年金の申請には相応の準備が必要です!申請の流れをフローチャートにまとめます!必要書類に関してはこちらで説明しています!
年金事務所などで行うことができます。
受診状況等証明書は、一番初めに診療を受けた医療機関で作成してもらえます。
病歴・就労状況等申立書は、自分で作成します。
年金事務所などで行うことができます。
必要な書類は年金事務所などで案内してもらえます。
請求後約3か月で結果が通知されます。
【参考資料】日本年金機構『年金請求書提出までの流れ』
申請費用
申請するのにお金はかかりますか?
かかりません!ただし、申請に必要となる書類(診断書など)の発行料は支払う必要があります!
必要書類
障害年金の申請に必要になるものはありますか?
申請には以下の4つの書類が必須となります!
- 受診状況等証明書
- 診断書
- 病歴・就労状況等申立書
- 障害年金申請書
他にも、状況に応じて様々な書類が必要なることがあるので、市区町村の役場や年金事務所で聞いてみてください!
【必要書類の概要】
- 受診状況等証明書
- 初診日を証明する書類です。
- 初診日以降の治療経過についても記載されます。
- 初診を受けた医療機関で作成してもらう資料です。
- 作成不能の場合は「受診状況等証明書が添付できない申立書」
- 診断書
- 障害の状態を審査するために提出する書類です。
- 医者に作成してもらう資料です。
- 病歴・就労状況等申立書
- 発病から現在までの状況を記載する書類です。
- 自分で作成する資料です。
- 障害年金申請書
- 年金事務所窓口で障害年金を申請する書類です。
【1】受診状況等証明書
初診日を証明する書類です。初診日以降の治療経過についても記載されます。初診を受けた医療機関で作成してもらう資料です。
【1-2】受診状況等証明書が添付できない申立書
病院の廃院やカルテ廃棄などの理由で、受診状況等証明書が作成できない場合に代わりに提出する書類です。
- タップで確認
原本は日本年金機構の公式サイトよりご確認ください!
【2】診断書
障害の状態を審査するために提出する書類です。医者に作成してもらう資料です。
【例1】肢体不自由
【例2】精神障害
その他
その他の診断書は、下記の日本年金機構ホームページよりご確認ください!
【3】病歴・就労状況等申立書
発病から現在までの状況を記載する書類です。自分で作成する資料です。
原本は日本年金機構の公式サイトよりご確認ください!
【4】障害年金申請書
年金事務所窓口で障害年金を申請する書類です。
診断書
障害年金の申請には、診断書は必要になりますか?
診断書は申請に必須の書類です!
障害認定日から1年以内に障害年金を請求するかそうでないかによって提出する診断書の枚数が異なります!
- 障害認定日から1年以内に申請
- 障害認定日以後3か月以内の状態を表した診断書1枚
- 障害認定日から1年以降に申請
- 障害認定日以後3か月以内の状態を表した診断書1枚
- 請求日現在の状況を表した、直近3か月以内の診断書1枚
場合によっては、レントゲンフィルムや心電図のコピーの提出も求められます!
診断書の様式
障害によって使う診断書の種類が異なります。障害手当金に関するものは、次の5通りの診断書があります。
- 眼
- 聴覚・鼻腔機能・平衡感覚・そしゃく・嚥下・言語機能
- 肢体
- 精神
- その他
手足切断などで用いる肢体用の診断書を掲載します!参考にしてください!
このように、診断書の作成は障害の内容によって異なります!障害年金の要件などの確認も必要なので、診断書の作成前に必ず年金事務所に相談しましょう!
代理申請
障害年金の手続きは、家族の代理でできますか?
できます!ただし、委任状が必要となります!
所得制限
障害手当金に所得制限はありますか?
所得制限はありません!
年齢制限
障害手当金に年齢制限はありますか?
初診日に厚生年金に加入さえしていれば、何歳でも障害手当金を受給できる可能性があります!
回数制限
障害手当金は、回数制限はありますか?
障害手当金は、1つの障害について1回だけもらうことができます!
そのため、目の障害と手の障害で1回ずつ、計2回もらうことも理論上ありえます!
注意点
障害手当金に何か注意することはありますか?
注意点は次の3点です!
- 傷病手当金の支給が遅れる
- 傷病手当金でもらえる総額が、障害手当金の支給額を越えるまではもらうことができません。障害手当金は最低でも119万円もらえるので、傷病手当金の支給まで数ヶ月はかかります…
- 健康保険の扶養から外れる可能性がある
- 扶養から外れた場合、国民健康保険料を払う必要があります。
- 治った日から5年以内にしか申請できない
- 申請を忘れてた、制度を知らなかった、は許されません。ご注意ください。
How Much|いくら受給できますか?
障害手当金はいくらもらえますか?
もらえる金額は年度毎に変化します!また、年齢によっても若干異なります!
令和5年4月分からの支給額を以下にまとめます!
- 67歳以下の場合:「報酬比例の年金額」×2
- 最低保証額:1,192,600円
- 68歳以上の場合:「報酬比例の年金額」×2
- 最低保証額:1,189,000円
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