差額ベッド代|わかりやすく解説

差額ベッド代の概要

差額ベッド代とは「患者さんが希望して入る、個室または少人数部屋の料金」です。

正式には「特別療養環境室料」といいます。

相場

Q
個室の相場はいくらですか?
A

約8,000円です。

厚生労働省によると、差額ベッド代の相場は下記の通りです。

区分料金
1人部屋7,837円
2人部屋3,119円
3人部屋2,798円
4人部屋2,440円
全平均6,188円

払わなくていいケース

Q
差額ベッド代は拒否できますか?
A

はい、以下の場合は払わなくて大丈夫です。

差額ベッド代を払わずに済むケース
  1. 同意書にサインしていない
  2. 病状を見て医師が判断した
  3. 病院都合(個室しか空いていない)

同意書にサインしていない

『同意書による同意の確認を行っていない場合(当該同意書が、室料の記載がない、患者側の署名がない等内容が不十分である場合を 含む。)』

厚生労働省 通知

つまり、患者さんがサインをしなければ差額ベッド代が請求されることはありません。

病状を見て医師が判断した

『患者本人の「治療上の必要」により特別療養環境室へ入院させる場合』

厚生労働省 通知

具体例として、以下の状況が挙げられています。

  • 救急患者、術後患者等であって、病状が重篤なため安静を必要とする者、又は常時監視を要し、適時適切な看護及び介助を必要とする者
  • 免疫力が低下し、感染症に罹患するおそれのある患者
  • 集中治療の実施、著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要 のある終末期の患者
  • 後天性免疫不全症候群の病原体に感染している患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)
  • クロイツフェルト・ヤコブ病の患者(患者が通常の個室よりも特別の設備の整った個室への入室を特に希望した場合を除く。)

病院都合(個室しか空いていない)

『病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択に
よらない場合』

厚生労働省 通知

具体例として、以下の状況が挙げられています。

  • MRSA等に感染している患者であって、主治医等が他の入院患者の院内感染を防止するため、実質的に患者の選択によらず入院させたと認められる者の場合
  • 特別療養環境室以外の病室の病床が満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合

入院日数の数え方

Q
3泊4日入院する場合、差額ベッド代は何日分かかりますか?
A

4日分です。

病院の入院日数は、午前0時で1日分カウントが増えます。

医療費控除

Q
差額ベッド代は医療費控除の対象になりますか?
A

いいえ、原則なりません。

【照会要旨】
いわゆる差額ベッド料は、医療費控除の対象になりますか。

【回答要旨】
入院の対価として支払う部屋代等の費用で医療費控除の対象となるものは、医師等の診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なものであることが必要です(所得税基本通達73-3)。したがって、自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料については、医療費控除の対象となりません。

国税庁『差額ベッド料』

保険適用

Q
差額ベッド代は健康保険が効きますか?
A

いいえ、保険適用外のため全額自己負担となります。

4人部屋

Q
4人部屋でも差額ベッド代がかかりますか?
A

かかる場合もあります。

差額ベッド代の要件を確認してみましょう。

差額ベッド代の要件
  • 病室の病床数(ベッド数)は4床以下である
  • 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上である
  • 病床ごとのプライバシーを確保するための設備を備えている
  • 少なくとも「個人用の私物の収納設備」、「個人用の照明」、「小机等及び椅子」の設備がある

このように、4人部屋でも他の条件を満たせば差額ベッド代を請求できます。ただし、全ての4人部屋に差額ベッド代がかかるわけではありません。病院によっては、個室でも差額ベッド代を請求しないところもあります。

拒否すると入院できない

Q
差額ベッド代を拒否すると入院できないと言われました。
A

厚生労働省は、そのような行為を認めていません。

以下の厚生労働省通知をご覧ください。

『患者が事実上特別の負担なしでは入院できないような運営を行う保険医療機関については、患者の受診の機会が妨げられるおそれがあり、保険医療機関の性格から当を得ないものと認められるので、保険医療機関の指定又は更新による再指定に当たっては、十分改善がなされた上で、これを行う等の措置も考慮すること。』

厚生労働省 通知

わかりやすく言い換えるとこのようになります。

『病院は保険が効く範囲内で治療を行うことが原則です。差額ベッド代のような保険適用外の料金は、患者さんに選ぶ権利があります。それにも関わらず「差額ベッド代を払わないと入院させない」といったような対応をとるのは、保険診療を行う病院として相応しくありません。』

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